天隨念をご紹介したので、仏教の世界観における神と阿修羅の関係について述べてみたいと思います。輪廻思想の中では、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天という六道輪廻が一般的ですが、その前は地獄・餓鬼・畜生・人間・天の5道輪廻だったようです。5道から6道に変わった理由は、高い能力を持った神々の間で争いが起こり、破れた神が天界から堕ちて修羅の世界ができたのだそうです。
高い能力を持った存在が争って堕天するというのは西洋の悪魔思想にも通じるものがありますね。ちなみに仏教の中での悪魔は、ブッダに付き従いさまざまに妨害したりちょっかいを出してきたりしますが、ブッダが悪魔を退ける時の決まり文句は「お前は、私によって見透かされた」というものです。闘う対象ではなく、その真の姿を見極める対象として悪魔が設定されていて、その居場所もちゃんとあったのです。悪魔は、生と死を恐れることの象徴だとされて、その働きは、人々を輪廻転生につなぎ留めておくことだとされています。解脱することは、悪魔の支配する範囲から出て行くことなのです。そしてブッダから見透かされた悪魔は、攻撃されることもなく破壊されることもなく、そんなブッダの風景の片隅で、困惑してつまらなそうに地面に絵をかきながらふてくされています。
『ホモサピエンス全史』を書いた博学のハラリは『ホモ・デウス』という本の中でテクノロジーによって神の領域に足を踏み入れた人類の未来について、人間至上主義によって不死と幸福を求め続けることの幻想性とデストピアに至る危険性を指摘しています。ちなみに、ハラリはマインドフルネス修行をしているようですので、この神と阿修羅の争いについて知っていたのかもしれませんね。
幹細胞やiPS細胞の技術による再生医療が進められ、生殖医療や遺伝子操作技術も加速する中で、コロナ禍を体験した私たちは、今こそ自分たちの中にある神性と阿修羅性をしっかりと見つめて、どちらをどのように使いこなしてゆくかについてマインドフルに取り組まなければならないのだと思います。
そのためには、今回の新型コロナウィルスの出所がどこであったのかについて情報収集を忘れてしまわない努力を続け、ワクチンで大もうけした人たちの仕掛けてくる罠にはまってしまわないように自分の健康を大切に守り、巧妙に戦争を作り出して金儲けをしている人たちの歴史と動きをしっかりと察知しながら、今ここの小さな日常生活の中に思いやりと公平さと正義を実現することを忘れないようにする心がけを積み重ねるマインドフルネスの実践が欠かせません。
波羅蜜と呼ばれてきた人徳を積み重ねる実践は、人類が六道輪廻の全てを生き切る可能性を知り尽くし、実践し尽くして、輪廻から解き放たれ、悪魔も阿修羅も手の届かないところに解放されて、神さまのことも忘れてしまっていいようになる実践なのかもしれないと思う今日この頃です。